On Sound

2019年9月4日

僕が地底人になった日の話

たまに受ける質問で、なぜ津田さんはサウンドエンジニアの仕事をされているのですか?

と聞かれることがあります。

その答えとヒントはこのYoutubeの映像にあるのですが、とても言葉では説明しづらく、

すごく感覚的な話なので、4分26秒だけこの映像を見ていただけませんでしょうか?

オーストラリアに住むアボリジニの人たち以外ではディジュリドゥと呼ばれる事が多いこの

「楽器」を作っている映像で、作っているのはこの楽器を愛する人ならば、誰しもが会いたいカリスマオーラを持った男、「DJALU」とその奥さんです。

ほんとにただの生の木だし、楽器を作るというよりは、この木を「狩り」に行くには絶対に現地の人とじゃないと生きて帰れないくらい方向感覚のない林の奥深くにまで行きました。

というか、腐っている木を切って、中のシロアリを落として(笑)、

めちゃくちゃ重たいので木の外皮を剥がして、ガシガシ空洞をきれいにして、海水をぶっかけて、いい音を作っていく。

そんな作業を、言葉もほぼ通じないし会話もほとんどない中、コミュニティの端っこにある砂浜でひたすらこのDJALUという男と空気で会話をする。そんな時間でした。

とにかく、本当にかっこいい父ちゃんなのです。

思い返すのは、楽器とか、演奏とかよりは、そういった人間くさいことです。

サウンドエンジニアとの関連は、この楽器の音響的な響きは本当に衝撃で、

「なんで1人の人間が吹いているのに3つも4つも音が聴こえるん??」と。

そしておげれつにトリッピーなサウンドで、DJALUが吹く音をお腹に受けて、もう僕は地中深くまでグリグリグリグリと潜っていき、地底人として人生を歩きなおすことになったのです。

「倍音」なんてかっこいいキーワードはその時は理解できておらず、この時の衝動が僕の心の奥ふかくに刻まれ、「音の響き」や「響く音」を探求していこうと、チャラい当時の僕なりに決まったというわけです。