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執筆者の写真On Sound

AIはおばあちゃんのオニギリに勝てない

前回の記事で、「僕の仕事はもう無くなる」とショッキングなタイトルをつけた所、

たくさん読んでいただき反響も参考にさせていただきました。ありがとうございます。

仕事が無くならないように色々考えている上で自分にムチを打っているので、きっと大丈夫です。きっと。


さて、DTMのレッスンなどでミキシングの作業をよく料理に例えて説明する事があります。

各楽器は「食材」で、きれいにEQでアクを取り、コンプレッサーなどでバランスよく、そしてリバーブなどで味付けをする。鍋やフライパンはDTM/DAWソフトでしょうか。

調理方法には確立された王道のやり方もあるだろうし、絶対的な正解がないのも面白いですね。普段あまり口にしない味付けがとてもおいしければ、驚きや評判を生むでしょう。


マスタリングに関しては、お料理の「盛り付け」で例えることが多いのですが、

最近、「オニギリを握る」事にも似てるなと気づきました(笑)

ミキシングで出来上がってくる形式は2Mixと基本的に決まっていて、オニギリで言うところのお米/具材でしょうか。どちらにも、制作者の魂がこもっています。


ユーザーが食べる(聴く)時にいかにおいしくフワっと口に運んでもらえるかが

マスタリングの仕事で、それがエンジニアの『妙味』と言えるのではないでしょうか。


オニギリに海苔を使うからといって海苔の波形ような音圧感はよくありません。

味付けが濃すぎると1口目は美味しく感じますが、何個も食べれません。


おもしろい企画をテレビで観たことがあります。

とある「米炊きばあちゃん」がつくるオニギリ屋さんがあり、

その手でパタパタと空気を入れていく米炊きの技と、ばあちゃんの握るオニギリがとにかく美味しいという。


その評判をきいた家電メーカーが、テクノロジーを駆使して科学的に分析し、最新技術の炊飯器を開発して、同じおばあちゃんに握ってもらったそうな。

たくさんの人を集めて、目隠しでどちらが美味しいか、投票をおこなった結果、

『いい勝負』でしたが、「手でパタパタと炊いたお米」のオニギリが勝利していました。


これは、AIマスタリングと、エンジニアの手と耳でやるマスリタリングに通じるかもしれませんね。 

おばあちゃんの手の「肌感覚」と数え切れない「米炊きの経験」。


そして何よりもお客さんを思う「愛」は、「AI」に勝てないのかもしれませんね。



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